以前のブログで「ハーフシリンダーの建築」というタイトルで書きましたが、

今回はシリンダーの建築を紹介したいと思います。

シリンダーで有名なのがやはり構成主義の建築家、メーリニコフの自邸(モスクワ 1927)ですね。建築史に残る傑作です。

http://www.archdaily.com/151567/ad-classics-melnikov-house-konstantin-melnikov

自邸だけでなく、シリンダーを使った建築を幾つか残しています。

ブレヴェーストニク工場付属クラブ(モスクワ 1929)

 

こちらは複数の同一系シリンダーを組み合わせて作られていますが、シリンダーが増殖していくかのような案もあります。

ズーエフクラブコンペ案(1927、1等案は有名なあのゴロゾフの案)

写真はネットより、誰かがCG化したもの(右側がゴロゾフの実現案)

 

アルマティにもシリンダーを使った建築があります。どちらかといえば比較的新しいものが多いです。

こちらは結婚式場で、純粋に大小のシリンダーを2つ組み合わせたものです(1972年竣工で、設計者は分からず)

 

こちらは、実際にはシリンダーではなく、矩形にシリンダーを組み合わせたものですが、ここ10年以内に出来たものです。

 

これらのデザインが、メーリニコフなどを意識したものかは分かりません。

wikiのロシア建築を見てみると、ポストモダン時代に、構成主義を模したものが現れたそうですが、この流れでしょうか?

しかし注目したい点がありまして、1920年代後半から30年代にかけて、ラドフスキーの弟子であったカルミコフ

(八束はじめ氏の「ロシアアヴァンギャルド建築」においては、ウラジミール・カルミコフと書かれていますが、おそらくビクトール・カルミコフの間違いでしょう。ウラジミールでは検索で一切出てきませんが、ビクトールだと私が買った一連の本でもその名前で出てきます。)

が、1920年代後半から30年代前半に、キルギス地方の遊牧民のための住居タイプのデザインを提案していますが(実はキルギスで無く、カザフスタンではないかと思っています。というのも八束氏の本ではキルギスとありますが、私の持っている「Architecture of the Soviet Kazakhstan」にそっくりのプランが掲載されています。ただ残念ながら誰の設計とは記載されていない)。

残念ながらネット画像は無いのですが、これが実にメーリニコフの住宅を明らかに参照しています。

 

彼だけでなく、同じくラドフスキ-の門下生であった、クルチコフやコチャールらも円筒形住宅を提案しています。

(ただしこれらは大学でのものですが、メーリニコフのプロジェクトを想起させるものもあります)

 

クルチコフは、かなり変わったものを1920年代後半に提案しています。

http://www.kmtspace.com/krutikov.htm

 

個人的にはメタボリズムをかなり想起させるのですが、このユニット的なカプセル概念は、もちろんギンスブルグはナルコムフィンにおいてユニット形式の建築を提案していますから(ナルコムフィンはコルビジェのユニテ・ダビタシオンに影響を与えたといわれている)、これらのユニット概念はその延長上にあるものですが、中央アジアにおいては、遊牧民のユルタに通じるものがあります。

 

クルチコフはどちらかというと科学技術的な夢想性が見られますが、中央アジア出身のカルミコフにおいては、遊牧民の生活習慣に合わせたものを提案したのでしょう。

 

少し話がずれましたが、中央アジアにおける円筒形のデザインの変遷は、やはりカルミコフ的なデザインの流れだといえるでしょう。

カザフスタンではソビエトからの独立後、いかにしてカザフ人のアイデンティティを確立するかという命題が多少なりともあって、ユルタ的、イスラム的なものをどう反映するかが大きなテーマともいえます。

現代のシリンダーの建築は、それらを反映したものではないでしょうか?

ただしプラン上においては、円形を用いるのは機能上なかなか難しいでしょう。外観に張り付けるものが多いのではないでしょうか。

その流れにあるのがこの集合住宅でしょう。平面的に流れていきながら円筒形のボリュームを連続的に張り合わせています。

 

ちなみに2年ほど前、とある知人の家のデザインをしたのですが、もちろんこの流れを意識しました。(残念ながら実現せず)

後から気づいたのですが、切断手法など、メーリニコフ邸とそっくりだなと思いました。。。

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