アルマティにて目に留まる建物がありました。

この建物の竣工は1984年。設計はグラ。この設計者は1960年代に中央デパートも設計しています。

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柱型、梁型、腰壁によって構成された直交グリッド上に施された装飾を食い破るかのように

四角いフレームで切り取られオブジェのようなものが挿入されたファサードが非常に印象的です。

ファサードにこのように彫塑的な装飾を用いるのはソビエト建築のみならず旧社会主義圏で見られる手法です。

この彫塑的ファサードを見るとチェコ・キュビズムやマルセル・ブロイヤーを非常に強く想起させるですが、

何らかの関連性はあるのでしょうか。

近年の日本の現代建築でもよく見受けられる、ファサードを方形のフレームで切り取る手法

(私もいくつかのデザインで適応したことがありますが)もソビエト建築に見受けられます。

アルマティでも、アセム(1976)というグリーンバザールの隣にあるショッピングセンターのファサードにおいて

ブリーズ・ソレイユを全面に施したファサードにこのようにフレームで切り取られた面を挿入しています。

残念ながら現在は全面的に改修されその面影は全く残っていません。

 

初めてこの建物を見たとき、真っ先に思い出したのが、スティーブン・ホール設計のラッフルズ・シティにおいて

挿入されたレベルス・ウッズの「光のパビリオン」やアーキテクトニカの「アトランティス」(1982)の開口部です。

これらはファサードではなく建物本体に開口部を設け、そこに異物を挿入しているわけですが。

話も元に戻しまして、この建物のファサードにおけるフレーミングによる開口とその部分への異物の挿入は、

まさしく異化作用と呼べるものではないかと思います。

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この手法はどこから出てきたものでしょうか。

個人的な推測にしか過ぎませんが、モスクワの1930年代の古典主義建築から来たのではないかと思っています。

この時代は構成主義がスターリンによって衰退していき、古典主義が台頭してきた時代です。

特にワインシュテインのモスクワの集合住宅(1935-1938)や、

アルハゾフの集合住宅(1940)のファサードにみられるように、

柱とアーキトレーブでフレーミングされた部分が非常に特徴的です。

フレーミングされた部分の開口部はバルコニーになっており、壁の色もファサードと違う色彩を適応しています。

内部が剥き出しにされたかのような表現です。

彼らはもとは構成主義者であったようですが(ワインシュテインはソビエトパレスのコンペにも参加していた模様)、

他の構成主義の建築家と同様、古典主義(いわゆるスターリン様式)に転向していきます。

ただ古典的ファサードにおいて、彼らはそれまでの古典主義とは異質な方向性を

ファサードにもたらしたのではないでしょうか。

この建築家がどのような意識で設計したかは分からないですが、

このオフィスビルのファサードの構成は、おそらくそのあたりからきているのではないかと推測しています。

グリッド全体に連続する装飾を断ち切るフレーミングとその異物といえるオブジェの挿入は、

まさしく異化と呼べるものではないでしょうか。

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