今回はサーカス劇場を紹介したいと思います。

アルマティを代表する建築といっても差し支えないでしょう。

http://circusalmaty.kz/

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設計はウラジミール・カーツェフ、竣工は1972年です。

ソビエト時代はモスクワのボルショイ・サーカスでも知られていますように、サーカスは非常に盛んでした。

モスクワのボルショイ・サーカス劇場も1971年に建てられています。

以前、ビシュケクのサーカス劇場(1976)の写真を載せましたが、他の中央アジア諸国と比較して、

アルマティのサーカスは非常にユニークな形態といえるでしょう。

円形アリーナ、管理棟、トレーニング・ルーム、団員の居住施設などで構成されています。

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アリーナ右手に見えるカラフルなレリーフをまとった部分はチケット売り場で、竣工当時から同じデザインです。

その右手に見えるタワーも同様です。

このアリーナ部分ですが、サーカスという機能を果たすため円形になっていますが、

リブ状の屋根も含め、建築家のカーツェフはカザフスタンの文化を表現しようと努めたようです。

つまりユルタですね。

この円形アリーナの外形は、3層の水平ルーバー、回転するようにまとわりつくバルコニーで形成されています。

水平性を非常に強調しています。

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バルコニーサイド部分には手摺壁は回らず、開口されています。回転性を表現するための手法だと思います。

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バルコニー部分の床は先に向かって細くなっています。手摺部分の笠木の板の出が非常に大きいです。

水平性をより強調しようとしているのが分かります。

アリーナは回転するコスモロジーのようなものを、ナショナル・アイデンティティーと同時に表現使用したのではないでしょうか。

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登頂部分は、レオニドフの重工業省コンペ案(1934)のホール部分を想起させますね。

 

アリーナの内部からからドロッと突き出るチケット売り場が印象的です。

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後から塗装されたものだと思っていたのですが、竣工当時の写真を見ると最初から塗装されたカラフルなデザインでした。

 

アリーナの北側に管理棟などが併設されています。

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木の板が壁に貼られていますが、何年か前の改修で貼られたと思います。

エントランス部分から左側はおそらく増築ではないかと思います。

70年代に撮影されたと思われる上空写真にはこの部分はありません。

ネット上で公開されているオリジナルの立面図にもないですね。

今の所、いつ増築されたのか、同じくカーツェフらのチームによってなされたのかも分かりません。

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この増築部分の完成により、全体としてデザインが引き締まったような気がします。

ただ建物自体全体として大きく、高低差が非常にありますので、全体を通して見ることはできませんが。

 

ソ連崩壊後、経営などで紆余曲折あったようですが、2015年に正式に民営化から外されることが決定しました。

アルマティの都市景観のシンボルの一つともいえる建築ですので、

是非ともこれからもその魅力を保ち続けてほしいですね。

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ちなみにカーツェフは、スポーツ宮殿(1967)、メデオのスケートリンク場屋ホテル、

スキー場のチンブラックのホテルなども手掛けています。

アルマティのプール施設「ダイナモ」も彼の設計によるものです。

年代は分かりませんが、大きくフレーミングされた開口部から内部が表出したようなファサードで

バルコニーが突き出した外観デザインです。現在は改修されアルミパネルが貼られています。

オリジナルのデザインが見れないのは残念ですが、彼の代表作に数えられるでしょう。

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